失敗しない家づくりのコツ 1-11

坪単価で家の価格を判断するのは危険?知っておきたい5つの落とし穴

家づくりの相談を受けていると、「坪単価っていくらですか?」というご質問をよくいただきます。確かに、家の価格の目安として「坪単価」は便利な指標に思えますよね。
しかし、実際にはこの「坪単価」、あまりあてにならないことが多いのです。なぜなら、住宅の坪単価はさまざまな条件によって大きく変わるからです。
今回は、坪単価をうのみにしてしまうと失敗につながる5つの要因を詳しくご紹介します。
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1. 家の形状の違い
まず一つ目のポイントは、「家の形状」です。
たとえば、延床面積が同じでも、1階が大きく2階が小さい家と、1階と2階が同じ広さの総二階の家では、坪単価がまったく異なります。
さらに、平屋住宅は基礎や屋根の面積が広くなるため、坪単価が大きく上がる傾向にあります。
つまり、「どんな形の家を建てたいか」が決まっていないまま坪単価だけで比較しても、本当のコスト感はわかりません。
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2. モジュール(寸法単位)の違い
2つ目は、「モジュールの違い」です。
日本の住宅には主に2つの寸法基準があります。
• 尺モジュール(910mm)
• メーターモジュール(1,000mm)

同じ間取り図でも、モジュールが違うと床面積が変わり、結果として坪単価にも差が出ます。
実際に、同じ仕様の家でモジュールを変えるだけで、坪単価が6万円以上変わるというケースもあります。
坪単価だけを見て「安い!」と感じても、実はモジュールの差だった...ということも少なくありません。
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3. 延床面積 vs 総施工面積
3つ目は、「延床面積と総施工面積の違い」です。
• 延床面積:法的に定められた床面積(図面に記載)
• 総施工面積:ポーチ、ベランダ、吹き抜け、ロフトなども含んだ実際に工事する面積

住宅会社によっては、この「総施工面積」を使って坪単価を算出していることがあります。延床面積で割った場合と比べて、坪単価が1.3倍近く違って見えることもあるので、注意が必要です。
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4. 含まれる工事範囲の違い(入口価格と出口価格)
4つ目のポイントは、「見積もりに何が含まれているか」。
住宅の見積もりには、本体工事のほかにも以下のような付帯工事が必要です。
• 仮設工事(トイレ・電気・水道など)
• 地盤調査費
• 設計・申請費用
• 屋外給排水・電気引込工事
• 照明器具・カーテンなどの設備費

本体価格や坪単価が安く見える会社ほど、こうした付帯費用が含まれていない場合があり、150〜200万円以上の差が出ることもあります。
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5. 標準仕様とオプション仕様の違い
最後に注意したいのが、「標準仕様とオプション仕様の差」です。
例えば、外壁材、床材、ドア、キッチン、浴室、窓サッシなどにはグレードの違いがあり、見た目が同じでも100万円以上差が出ることも。
「この家は安い!」と思っても、実際に建てるときにグレードアップが必要で、想定より高くなってしまうというケースも少なくありません。
あらかじめ「どんな仕様が標準か」「どこからがオプションか」を確認しておくことが重要です。
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まとめ|坪単価は"目安"以上に考えすぎないこと
ここまでの話をまとめると、坪単価は
• 家の形状
• 寸法モジュール
• 面積の定義
• 含まれる工事範囲
• 標準とオプションの差

といった5つの条件によって、大きくブレる数字です。
つまり、坪単価や本体価格の「見た目の安さ」に惑わされないことがとても大切だということ。
まずは、ご自身が建てたい家のイメージや希望をしっかり伝え、総予算の中で何が実現できるかを一緒に考えてくれる住宅会社を選びましょう。

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